ある居酒屋チェーン店で店長を任せられていた頃の話です。
毎日、上長から電話があり、「今日の売り上げ目標は?」って聞かれます。
私はいつも、「めんどくせーな」って思いながらも、当たり障りのない数字を伝えていました。
「そんなことしてたら・・・。」って、思いますよね。
しかし、毎月開催される店長会議で月次報告をするのですが、成績不振で叱責されたことがありません。
なぜなら、しっかりとした利益を出していたからです。
今回は『なぜ好成績を出せるのか?』、その秘策ついてお話しします。
売上目標は必要?不要?
「そりゃー、目標は必要でしょう!」って思いますよね。
でも、「テストで満点取ろう!」って目標とは、ちょっと違います。
テストは、自分が勉強すれば目標達成が可能ですが、『売上』はお客様が来店し、お会計を支払って頂いた結果です。
つまり、お客さんで決まるのです。
では、実際に現場でいわれる『売上目標』って、どうやって出しているのでしょうか?
過去の実績や損益分岐点などの様々なデータを収集し、それを基に年間目標、四半期、月間、週間、日と導き出しているのではないでしょうか。
しかし、これは売上目標ではなく『売上予測』なのです。
各店舗の売上ノルマが設定され、それを達成するために、どれだけの売上が必要なのか
が『売上目標』であり、ノルマ達成という期待や希望を含んでいるのです。
これらは、最終的に『営業利益』を残すことを目的としており、その為に何をすべきかを考えさせる為の「目標」と捉えることが重要なのです。
たくさんの現場でいわれている『売上目標』は、上長の顔色を伺って立てた目標であり、達成できずに月末を迎えてしまう店舗が多いと思います。
そこに意味があるのでしょうか?
最終的な目標とは?
日々の目標を立てることで、達成させる為の行動ができればそれは良。
しかし、前にもお話しした通り、居酒屋では「お客様がご来店されてなんぼ!」の業界です。達成できるかどうかのカギは、お客様にかかっているのです。
日々の売上を安定させるには、どれだけの常連様に支持されているかで決まります。
そうは言っても「今日の売り上げ目標は?」って上長から聞かれたら、答えなければなりません。
これを追求していくと、「最終的に営業利益をどれだけ残すか?」「その為には残りの営業日でどれだけの売上が必要か?」ということなのです。
では、最終目標である『営業利益』を残すためには、何をすればいいのでしょうか?
営業利益を残すには・・・
基本に戻って考えてみましょう。 >営業利益の算出について
営業利益は、売上から諸経費を差し引くことで算出することができます。
売上が増加したからといって、それに比例して営業利益も増加するとは限りません。
前項で述べたように、営業利益を残すことが最終目標であるならば、売上と同時に、諸経費をコントロールすべきなのです。
数字が苦手な人も、ココは頑張らなくてはなりません!
諸経費のコントロール
他の記事でも述べていますが、コントロールできる諸経費は次の通りです。
- 原価(原価率)
- 人件費
- 水道光熱費
この3項目をコントロールすることが重要になってきます。
原価(原価率)
最も注意すべきポイントは、食材や飲料で「無駄を出していないか?」、つまり「捨てていないか?」をチェックしましょう。
今まで捨てていた部分で、商品を作って販売しましょう。また、販売できない商品であれば、サービス品としてお客様に召し上がってもらいましょう。
そうすることで、常連様になってくれるかもしれませんよ。
次に、より安価の商品を有効に活用しましょう。近所の八百屋さんに出向いて探すことも必要です。
安価な材料を工夫して、付加価値を付けて商品化すればいいのです。
アイデア次第で、簡単に原価率を下げることができるはずです。
人件費
ほとんどの正社員は固定給なので、売上を伸ばさなければなりません。
しかしアルバイトさんは時間給なので、暇な時間帯の勤務を省く必要があります。
実際のサイクルを客観的に眺めると、お客様が来店し、1時間くらいは猫の手も借りたいくらいの時間帯、そこから1時間~1時間半程度の落ち着く時間、後にお客様が帰るというサイクルです。
ここで売上が計上されるのは、来店してからの1時間です。つまり、この時間帯だけアルバイトさんが必要なのです。
お客様が帰った後は片付けだけの作業なので、全く売上は計上されません。
このサイクルに伴ったコントロールをすることが、店長の役割です。
アルバイトさんを働かせる時は、『労働生産性』を考えることがとても大切です。
水道光熱費
常に「節約」です。
さいごに
仕事がマンネリして、達成する気もない『売上目標』を打ち出していませんか?
そんなものなら不要なのではないでしょうか。
店長という立場で店舗を任せられているのであれば、「売上」よりも「営業利益」に着目してみましょう。社長であれば必須です!
自ずと『今やるべきこと』が見えてくるはずです。
売上は、お客様が来てくれてからの話です。お客様がきてくれるかどうかは、昨日までの営業成果なのです。昨日までの営業活動で、どれだけの「お店のファンづくり」ができたかです。
お店のファンが増えることで、必ず売上の実績に現れます。「ファンづくり」については、また別の機会にお話しします。期待していて下さい。
日々、精進して参りましょう!