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『居酒屋』の利益を左右する原価:試作と調理マニュアル作成の手順

 『居酒屋』を始めるにあたり、メニューを決めていく段階で、同時進行していかなければならないことがあります。

それは「試作」です。

ここでは、試作しながら『調理マニュアル』を作成する手順とともに、利益を左右する『原価』についてお話ししていきます。

 

 

「試作」の手順

 飲食店で商売として提供する商品は、趣味で作るものではありません。

数多くのお客様に提供することになるので、常に一定の水準を保ち、より高いレベルの商品であることで、お客様から「お代(お会計)」を頂戴できるのです。

調理の状況や人によって味に変化が出たり、盛り付けが変わったりしては、お客様からの信頼を失ってしまうだけでなく、確実に客数の減少に繋がってしまいます。

 

調理マニュアルの作成

 「商品の質」を常に一定の水準に保つためには、「調理マニュアル」を作成する必要があります。

商品の質は、味・量・食材・盛り付け・温度によって決定されます。

それを一定に保つためには、調理工程と調理時間を明確にしておくことが必要です。

更には、前回もお話ししたことですが、商品価格・原価・利益についても、商品ごとに明確にしておきましょう。

これらをまとめたものが『調理マニュアル』です。

項目

✅メニュー名

   お客様にとって解りやすい名称にしましょう。
   時代によって変わるトレンドにも気を付けてください。
   例えば「○○風・・・」「手造りの・・・」のような

 

✅価格・原価・原価率

   価格・原価については前回の記事を参考にしてください。

商品価格と原価のポイント

   原価率(=原価/売価 × 100)は商品ごとに異なって当然です。
   それぞれの商品には、メニュー表にのせるそれぞれの「意味」があります。
   それぞれの原価率がバラバラであっても、
     最終的に原価率がどのくらいになるかが大切です。

✅販売目標数

  一日あたりの「販売目標数」を記入しましょう。
  これは、食材の発注数量やトータル原価率を算出する際の根拠になります。

✅原材料名

  商品の調理に必要な原材料を全て洗い出しておきます。
  また、仕込み品についても同様です。
  仕込み品とは、商品を調理する上であらかじめ用意しておくものです。

✅単位・数量・材料金額

  単位は「g」「枚」「cc」等で、数量は正確に記入します。
  これらは、材料金額を正確に算出することが目的です。
  つまり、この材料金額の合計が「原価」となります。

✅メニュー写真

  完成した商品の写真です。
  盛り付けのチェックに使えるようにします。
  また、食器や提供時に必要なスプーンや分け皿なども写しておくと、
    イメージしやすくなります。

✅調理手順

  使用する調理器具、時間、温度なども正確に記入します。
  一般の料理本のレシピ等を参考にして、
    誰でも調理できるようにしておきましょう。

 

注意点

 仕込み品の材料や調理手順についても、同じように全て記入します。

仕込み品については、保管容器・保管場所なども一緒に記入しておくと、在庫管理もしやすくなります。

メニューに載せている商品は、注文を受けてから調理しますが、仕込み品は予め作り置きしておくので、保存の仕方が重要なポイントになります。

自分だけ分かっていれば・・・といった考え方では効率よく仕事が進みません。

 また、調理業務において無視できないのは、食品衛生法に則った観点で食材を見れるようにしましょう。

「食品衛生の知識」については、飲食店に携わっている限り、必須のテーマです。

お客様の健康を預かっていることを忘れてしまうと、些細なミスが大きな事故に繋がります。

 調理マニュアルの中では、単に材料や分量、手順だけでなく、取り扱い上の注意点も記入しておくことも大事です。

 

原価管理

 お店の経営上、利益の確保は必須であり、そのためにも『原価管理』はしっかりやらなければなりません。

マニュアルの更新

 調理マニュアルは、定期的に見直し、修正が必要です。

新商品を追加したり、既存商品を撤廃したりする時はもちろんですが、『原価』が変更になる場合も、調理マニュアルの変更も実行しなければなりません。

面倒だからと言って怠ると、正しい経営判断ができなくなります。

 仕入れ価格は、季節・異常気象などの要因で変ってきます。

特に生鮮ものは、時期によって価格変動幅が大きく変わるので、原価計算に狂いが生じやすくなります。

 

歩留り(ぶどまり)

 想定している原価をオーバーする原因として、もうひとつ考えておかなくてはならないのが原材料の『歩留り(ぶどまり)』です。

食材は、仕入れしたものを全て使用できるわけではありません。

魚貝類においては、下処理をしたり捌いたりすれば、頭や骨、尻尾などを除去します。

つまり、実際に使用する部分が限られます。

例えば、

1Kg の魚であれば、刺身用に卸すと頭や骨、腸などを取り除きます。

刺身に切れるように卸した場合、使用できる身の部分は 700g になったりします。

この場合、およそ 30% のロスが発生するということです。

 この「歩留り」を考慮せずに価格設定をしてしまうと、原価計算しても正しい数値は算出されません。

仕入れ価格の変動などの状況変化によっても、正確な原価を再計算し直し、その都度マニュアルの変更を実施するようにしましょう。

 

標準原価率と実質原価率

 これから飲食店を始めようと考えているならば、原価には「標準原価」と「実質原価」があることも理解しておきましょう。

標準原価率

 調理マニュアル作成の際に、材料、分量などを決定してあるので、商品それぞれに「原価」が明確になっています。

仮に、月次の決算をした場合、一ヶ月間に販売された商品の数量によって「売上対原価の比率(原価率)」は変化します。

販売実績を元に、正しいオペレーション、食材管理、調理工程が実施されたとして計算された原価を「標準原価」といいます。

また、「標準原価」が月間売上に対してどのくらいの構成比を占めているかを計算したのが「標準原価率」です。

つまり、

 標準原価率 = 

  (当月メニュー別販売数 × 想定原価の総計) 

             / 当月売上高 × 100

実質原価率

 しかし、実際に計算される原価は、それぞれの商品の販売数から計算しません。

どのように計算するかというと、棚卸し結果と当月の仕入れ金額によって算出するのが一般的です。

つまり、実際の材料の消費量から計算される原価が「実原価」であり、これが売上に対してどのくらいの構成比を占めているかを計算したのが「実質原価率」です。

 実質原価率 = 

  (前月棚卸高 + 当月仕入高 — 当月棚卸高) 

             / 当月売上高 × 100

 

 当然、それぞれの原価率にはかなりの「差」が出ます。

この差を「ロス」といい、ロス軽減は経営上、常に考えていなかければならない課題の一つです。

この「ロス管理」については、また別記事でお話しします。

 

さいごに

 メニューを決めていく際に「試作」を行う意義についてお話ししました。

お客様にイメージしてもらえるようなメニュー名を決めたり、誰が調理しても同じ商品の味、量、盛り付けになるようにトレーニングしたり・・・。

そのためにも『調理マニュアル』を作成することをお勧めします。

商品や仕込み品について決めておくことで、新人スタッフの育成にも役立ってきます。

 また、商品の原価計算まで細かく明記しておきましょう。

特に「歩留り」を考慮すべき魚や野菜についても、注意して原価を明記しておくべきです。

これらは、季節や時期によって価格変動したり、それらの状態も大きく違ってくることを忘れないでくださいね。

 

では、またお会いしましょう!

 


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