飲食店では、セールス力を向上させると、同時にお客様からの『信頼』も勝ち取ることができます。
全部が全部成功するとは言えないが、やってみるとかなり効果的です。
通常のグランドメニューもセールスすべきですが、今回は「おすすめ品」にスポットを当てていきたいと思います。
おすすめ品の持つ「意味」
どこのお店にも、おすすめ品はあります。
なぜ、おすすめ品を提示しているのでしょうか?
理由は様々ですが、「これを召し上がって欲しい」とお店が提示するものです。
それを召し上がったお客様が「美味しい!」って笑顔になれるものです。
お店のアピール
この『おすすめ品』があることで、お店にどんな影響を及ぼすでしょうか。
「これ、美味しい!」
「この時期はコレだよね」
「これお得だよね」
などなど、様々な意見が飛び交います。
これが、お店にとって好印象に繋がり、「また、来てみたい」という来店動機にも繋がってきます。
大きな理由の一つは、『旬』をアピールすることです。
日本は四季折々に旬があり、それに伴って野菜や果物、鮮魚にも美味しい時期があります。
「ココのお店ではいつ、旬のおいしいものが食べられる」
こんな評判が出てくれば、勝手にお客様が来店してくれるお店になります。
では、おすすめ品を販売することには、他の意味はないのでしょうか?
経営側の「意味」を少し考えていきましょう。
前にお話しした通り、美味しいものをおすすめして、お客様に印象付けることが、一般的な理由になっています。
ここでは、もう一つの意味を挙げてみます。
原価率の調整
それは、『原価率』の調整に効果があるということです。
お客様の殆どは「お店のおすすめだから、きっと美味しいに違いない」と思います。
つまり、通常のグランドメニューの商品よりは、期待度が少しアップしています。
そこで、余った食材を活用しておすすめ商品を販売すれば、結構売れるのです。
店舗内にある食材は全て仕入したものであり、それを販売して「お金」に換えなければ、お店の経営は成り立ちません。
コツコツとお金に換えることで、必ず『原価率』が下がるはずです。
価格の決め方については、別記事で紹介していますので参考にしてください。
>価格設定の手法
特に『旬』のものは、仕入価格も安く手に入ります。
また、「旬のハシリ(旬を迎える少し前の時期、出始めの時期)」では、まだ稀少価値が高いため、お客様の購買意欲も上がります。
勿論、仕入価格も安定してないため、少し高価ではあります。
しかしその分、価格も高めにできるので売上アップにも貢献できるはずです。
せっかく「おすすめ品」をアピールしても、販売できなかったら意味がありません。
では、効果的な『セールス』はどのようにしたらいいのでしょうか。
逆発想でのセールス
まず、必ずお客様に店員が「告知」することが大前提です。
「メニューと一緒に置いてあるから」
「店内の黒板に書いてあるから」
ではなく、必ず「コチラが本日のおすすめです」ということをお客様に声を出してお伝えしましょう。
声を出してお客様と会話できる雰囲気をつくることで、その場で注文を頂ける確率が、断然上がります。
また同時に、お客様との「距離」を近くする効果もあります。
逆転の発想
『旬の食材』は、今の季節に美味しく召し上がれるものだということは、誰でも知っています。また、日本人として食べたくなるものです。
しかし、旬の食材ではなく、お店側が「どうしても売りたい」と思う商品を売るにはどうしたらいいでしょうか?
ホールを担当している店員さんが、よく悩む点ですよね。
そんなあなたに、逆転の発想で販売実績を上げる手法を2つ紹介します。
値引き作戦
最も簡単なのが「値引き」です。
スーパーのワゴン販売と一緒で、少しでも安い値が付いてると、ついつい購入してしまう心理と同じです。
例えば、600円という価格で販売している商品が、「今なら、500円でいいですよ!」って言われたらどうですか?
お得ですよね!
買っちゃおうって思いますよね!
でも、値引きしたら利益に影響するのでは?と頭を悩ますのも当然です。
ならば、初めから700円の金額を設定しておいて、100円引きで600円で販売できたら問題ないですよね。
お客様もお得感があるし、お店側も心配なくなります。
更には、お客様とスタッフの親近感もアップすることでしょう。
否定作戦
もう一つの作戦は「否定」です。
これは、売りたいおすすめ品と同じ分野の商品を、お客様が注文しようとした時に効果があります。
例えば、「お刺身のブリがたべたいなぁ」と言われた時に、小声でお客様にお伝えします。
「実はお客様、今日のブリは先日仕入したもので、ちょっと鮮度が落ちています。ただ、マグロであれば仕入れたばかりなので、今が最高です!」と。
このように言われたら、あなたならどうですか?
このように、お客様が注文するものに代わる「おすすめ品」を販売できたら、お客様の信頼も厚くなることでしょう。
さいごに
お店のおすすめ品は、通常のグランドメニューにはない「特別な商品」をアピールすることです。
それによって、お店の好感度アップや従業員さんの信頼性を向上できるのです。
どのような商品がおすすめ品として良いかを、以下に示します。
- 旬のモノ
- 珍しいモノ
- ボリュームのあるモノ
- 健康に良いモノ
- 安価なモノ
これらが、お客様にとって「お得になる」印象を与えてくれます。
- 余った食材を活用したモノ
- 原価率の低いモノ
これについては、お店の経営に影響するものであり、十分な検討が必要です。
なぜなら、お店側が儲かる商品は、お客様にとっては得を感じてもらえないからです。
だからこそ、お客様の立場で『得』を感じられるセールスが有効なのです。
今回は、『得』を感じて頂けるセールス手法として2つ紹介しました。
1つ目は、予め価格設定を高くしておいて、セールスの際に「特別にお安くする!」、もう1つは「お客様が欲しいと思われた商品を一旦否定して、その代替え品をセールスする」という手法でした。
ぜひ、実践してみてください。必ず、驚くほど売れます!(笑)
商売をしていく上で、お料理が美味しく、価格も適切であることが、お客様に気に入られる条件です。
そこに『サービス』という付加価値が付いて、信頼関係を築くことができます。
さいごになりますが、お客様との信頼関係を築くことは、地道な努力が必要です。
しかし、その信頼関係が崩れるのは一瞬です。
このことを肝に銘じて、日々の営業に取り組みましょう。