重要な案件の伝達においては、口頭では信頼性に欠けます。
勘違いや誤解を招くのを防ぐためには、文書のやり取りが一番です。
ポイントは、要点を明確に伝えるためにはシンプルな文章でまとめることです。
また、文書化することで、記録に残す意図もあります。
ここでは、ビジネスにおける文書のルールについて解説します。
ビジネス文書の種類
ビジネス文書には、社内文書と社外文書があります。
ポイント | 文書 | |
社内文書 |
✅効率の良さを重視 ✅用件を素直に伝える |
上司・会社⇒部下 【指示文】【通達文】【辞令】など |
部下⇒上司・会社 【稟議書】【報告書】【企画書】 【始末書】など |
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社外文書 |
✅会社を代表して作成する文書 ✅礼儀と正確さが必要 |
日常業務 【依頼状】【請求書】など |
トラブル 【詫び状】【催促状】など |
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社交・儀礼 【招待状】【弔慰状】など |
ビジネス文書のルール
✅文体を統一する
口語体は厳禁です。
「です・ます」調を使う。
✅基本は横書き
挨拶状や案内状など一部を除き、横書きで作成するのが基本。
✅見出しを付ける
簡潔に文書の種類を伝えるために見出しは必須。
✅結論から先に
先に結論を述べ、その説明をする。
ビジネス文書は正確でなければその機能を果たしません。
誤字脱字や漏れがないか必ず校正しましょう。
特に数値の間違いはトラブルのもとなので、念入りに確認しましょう。
文書化することは、次の意味があります。
- 必要な情報を正確・迅速に伝える
- 内容を証拠として残す
- 法的な効力を発揮する
社内文書
社内文書は儀礼的な表現が最低限守られていればよい。
その代わり、内容と効率が重視されます。
また、提出期限は遵守し、作成のタイミングやスピードにも配慮が必要です。
社内文書の種類
指示や命令 ・・・【指示文】【通達文】【辞令】など
報告や届け出・・・【報告書】【企画書】【稟議書】【申請書】など
連携や調整 ・・・【伝言メモ】【回覧文】【案内文】【照会文】など
記録や保存 ・・・【議事録】など
社外文書
社外文書は、内容の記録としての意味合いが大きくなります。
挨拶などの礼儀は必要ですが、相手に伝えるべきことや回答を正確に記載することが求められます。
基本的な構成
社外文書を作成するにあたり、以下に基本的な構成について解説します。
【1】前付
発信年月日、宛名、発信者名の順で記述する。
宛名は左寄せ、その他は右寄せに記述する。
【2】件名
「〇〇の件」・「〇〇のご案内」など、
内容がひと目で分かるように記述する。
【3】前文
頭語→時候の挨拶→安否の挨拶→感謝の挨拶の順に記述する。
※時候の挨拶(以下に解説あり)
※頭語と結語(以下に解説あり)
【4】主文
必ず改行し、「さて」、「つきましては」などと、
一拍おいてから本題に入る。
【5】末文
頭語に対する結語で締めくくる。
※頭語と結語(以下に解説あり)
【6】別記
「記」として詳細を書く。箇条書きがベスト。
日時などの数字を記す時は、誤りに注意する。
【7】副文
注意事項や出欠席を知らせる方法、
ほかの担当者などの付記事項を最後に書き加える。
時候の挨拶【参考】
1月 |
初春の候 厳冬の候 寒さことのほか厳しき折から 松の内も明けて など |
2月 |
春寒の候 梅花の候 立春とは名ばかりの寒さの折 余寒のみぎり など |
3月 |
早春の候 春暖の候 日差しうららかな今日この頃 浅春のみぎり など |
4月 |
陽春の候 桜花の候 春たけなわの折から 桜花爛漫の季節を迎え など |
5月 |
新緑の候 若葉の候 青葉若葉の風薫る五月 若葉がまぶしいこの頃 など |
6月 |
梅雨の候 向暑の候 あじさいの花咲く頃 暑さも日増しに加わり など |
7月 |
盛夏の候 猛暑の候 太陽がまぶしい季節 酷暑のみぎり など |
8月 |
残暑の候 晩夏の候 残暑厳しき折から 炎暑の夏もしだいに遠のき など |
9月 |
初秋の候 清涼の候 そぞろ涼風の立つ頃 一雨ごとに秋の深まりを感じる など |
10月 |
秋冷の候 紅葉の候 木の葉も美しく色づいて 日増しに秋の深まりを感じる など |
11月 |
晩秋の候 向寒の候 秋色日増しに深く 冬も間近に迫り など |
12月 |
寒冷の候 初冬の候 年の瀬もいよいよ押しつまり 慌ただしい年の瀬を迎え など |
頭語と結語
頭語 | 結語 | ||
一般的な手紙 | 漢語調 | 拝啓、拝呈 | 敬具、拝具 |
口語調 | 一筆申し上げます | 敬具、拝具、かしこ | |
あらたまった手紙 | 漢語調 | 謹啓、謹呈、粛啓 | 謹白、謹言、謹上 |
口語調 | 謹んで申し上げます | 謹白、謹言、謹上、かしこ | |
急用の手紙 | 漢語調 | 急啓、急白、急呈 | 草々、匆々、不一 |
口語調 | 取り急ぎ申し上げます | 草々、匆々、不一、かしこ | |
再信の手紙 | 漢語調 | 再啓、再呈、追呈 | 敬具、敬白、拝具 |
口語調 | 重ねて申し上げます | 敬具、敬白、拝具、かしこ | |
前文省略の手紙 | 漢語調 | 前略、冠省、略啓、草啓 | 草々、匆々、不尽、不一、早々 |
口語調 |
前文お許しください 前文失礼いたします |
草々、匆々、不尽、不一、早々、かしこ 取り急ぎ申し上げます 乱筆お許しください |
|
返信の手紙 | 漢語調 | 拝復、拝啓、復啓 | 謹言、敬具、敬白、拝具 |
口語調 |
お手紙ありがとうございました お手紙拝見いたしました |
敬具、敬白、拝具、かしこ |
社交文書
社交文書は、儀礼的な面が強く、格式を重んじ礼儀を示すことが重要です。
そのため、一般の手紙同様、縦書きが基本です。
主な社交文書
・あいさつ状
時候のあいさつ(年賀状、暑中お見舞いなど)、新規開業、
転任・退職あいさつ など
・見舞い状
不慮の事故、病気見舞い、お悔やみ状 など
・祝賀状
開店・開業祝い、結婚祝い、受賞祝い など
ビジネス文書のルール【まとめ】
ビジネス文書については、各企業内でテンプレートが用意されていたりします。
ルールといっても、相手に失礼がなく、要件が正確に伝わることが大切です。
余談になりますが、
私が会社員だった頃使われていたビジネス文書について追記しておきます。
✅稟議書・・・作成した案を関係者や上司に回して、決済を受けるための文書
✅趣意書・・・物事を始めるときの考え・目的・意見を記した文書
✅上申書・・・部下が上司に真実や意見などを申し述べる文書
✅覚書 ・・・当事者が、契約・合意事項確認のために取り交わす文書
✅念書 ・・・後日の証拠として、念のために書いて相手に渡す文書
✅委任状・・・ある事柄をある人に対して代理権を与えたことを他人に証明する文書
「時候のあいさつ」や「頭語・結語」については、常識を問われることもありますので、きちんと調べた上で使えた方がいいと思います。
次回は、来客対応について学びたいと思います。